審判の日/和田カマリ
る?」
見る見る小さくなっていくバイブルカー
「世界の終わりが近づいているとでも?」
聖書カーのドップラー音は
使徒の吹くラッパのつもりなのでは?
きっときっと
トンネルを抜けると黙示録が待っている
地獄に居場所をなくした
大阪中のゾンビが高速道路を封鎖しているのでは?
ユンケル皇帝液の雨が脱毛を促進しているのでは?
リバイアサン達が道頓堀川で交尾しているのでは?
666は悪魔の数字
賢明なる者はこの謎を解いてみよ
確かあの車のナンバープレートは
奈良あ666だった気がする
期待と不安に妄想を拡げていると
円形の昼光色が次第に大きくなり
ついに俺は穴から抜け出した
な、なんと!
出口付近の路側帯に
黒のバイブルカーが止められていた
見ると件のミッショナリーマンは
ハイウエイパトに切符を切られている
奴は死後が待ちきれなくて
あろうことか生前に
警察による裁きを受けていたのだ
まるでウサギと亀みたいに
今度は俺のヒュンダイが
奴のトヨタを軽くパスして行った
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