ともだち/藤原絵理子
真っ白いノートに
青いインクでスラッと書きたい
なぐさめかもしれない
ラブレターかもしれない
高らかな決意かもしれない
それとも
別れのコトバ?
ノートの表紙は
いろんな色で彩って
道行く人の目を引いたり
鎧がわりに身を守ったり
冬の寒さをしのいだりする
けれど
なかみは白と青だけにしたい
あたしはここにいるよ
真っ青な空の背景に
頼りなく薄らいで消えそうだけど
見失わないでいてね
子供のころに夢中で走った
砂浜に打ちあげられていた緑の小瓶
あのころのままのあたしが
駅のベンチに落ちていても
きれいなショーケースに並んでいても
ページを開けばあたしだとわかる
ともだちならそれがわかる
そんなノートを1冊持って
この街の風に吹かれていくんだ
こわがらずに胸をはって
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