ロンサール/
藤原絵理子
に
軽くなってしまったきみのことに
いっしょに帰ろう
あたしはもうだいじょうぶだよ
きみの肩に手を置いた一瞬
銀色にきらめく青い海の残像がよぎる
波にあわ立つ潮の香りさえよみがえる
あたしを見上げるきみの目が
ずっとさみしかったんだよ と言う
ゆらゆら揺れはじめるきみのベレー
あたしは微笑みながら涙を流す
ちいさい弟みたいにきみを抱きしめる
むかし夢中で読んだ本の匂いがする
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