拾参憑き姥(ぼ)の暦うた/salco
苛性ソーダを鍋で煮る
知っておるやら何の日か
泡立つおはじき夢に見る
わしの願掛け三隣亡(さんりんぼう)
睦月いち足すじゅうににち
黒丸しるす天赦日(てんしゃび)は
ひがみねたみが吉を引く
素通りなれば追うて剥ぐ
如月数えてじゅうといち
馬鈴薯の芽刳りみじん切り
ソラニン和えのおひたしを
羽振り見よかしの客人に
弥生とおかは寒ほどけ
まなうらに黒檀色の糸を引く
まぼろしの情夫(いろ)の肌(はだえ)に乳も張る
しらじら喪主の白綸子
卯月ここぬか不実はあるじ
朝の鏡に削ぐ泡が
咲くよに染まる剃刀は
刃こぼれ仕込む妻のわざ
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