地球をひとまわりして/
栗山透
考えていると
ますます深みに嵌っていく
どんな抵抗もできない
目の前に広がる赤や白の地球を
呆然と眺めているしかない
冬の夜空には月が見えるかもしれない
なにも見えないかもしれない
でもこの深みを手放したくない
ここで沈んでいく意味を識っているから
それは遥か昔に見た
淡い記憶の欠片に似ている
広くて終わりなんてないように見えた
どこまでも進んでいけると思った
地球をひとまわりして
家に帰れると思っていた
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