二十代/岩下こずえ
私たちの! 目的地だったの!?」答えはない。それどころか、もう誰もいない。わけ
が分からなくなって、ただ叫ぶ。「人さらい!」
街から先の列車はもう出ていなかったので、私は、自分の足で、レールをたどってきた。
ここは荒野。 安楽に眠れる場所なんてない。それどころか、飢え、渇き、からだの痛み、焼
け付くような暑さ、極寒の夜・・・。私はつらくて、それらすべてに涙を流す。それに、ひ
とりっきりだ。
でも、誰かにはっきり言ってみたい。「私は街なんて、絶対にイヤ。死んでもごめんだわ
。このレールの先に何もなかったとしても、今のほうが断然いいわ。」
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