ダンサー/いねむり猫
深い森の中
ダンサーは
柔らかく しなり
五感を開放して
踊りながら 問いかける
古代の森が醸す
気高く
人を受け入れることの無い
重い気配
人という種の 居場所のない
痛みのような不安
裸足に心地よい 落ち葉の堆積
森の気が 体に浸透して
圧倒される
芥子粒のようなこの生
時間の感覚をなくした
めまいのような 生の終焉の予感
けれど ダンサーは
古びたピアノを 探り弾くように
踊らなくてはいられない
風に舞う 雪虫のように
踊ることで 古代の森の香気が
体を通り
踊ることで 生じた 小さな波紋と
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