マフラー/みもる
 
いつか君からもらった
手編みのマフラー

今頃になって
箪笥の奥から湧き出てきた

ボロボロにほつれてしまっていて
それはもう

今の僕らみたいだった

流れ 流れゆく時の中で
全てが風化されてしまいそうなんだ

情熱も歓喜も哀愁も貪欲も
君も

この寒い季節に
君はどうしているのかなぁ

器用に僕だけを忘れ
暖かく過ごしているのかなぁ

もう一度だけ
このボロボロのマフラーを
僕の首にかけてほしい

でも君はもういないから
弟にかけてもらった

笑った

二人で大いに

笑った
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