マフラー/みもる
いつか君からもらった
手編みのマフラー
今頃になって
箪笥の奥から湧き出てきた
ボロボロにほつれてしまっていて
それはもう
今の僕らみたいだった
流れ 流れゆく時の中で
全てが風化されてしまいそうなんだ
情熱も歓喜も哀愁も貪欲も
君も
この寒い季節に
君はどうしているのかなぁ
器用に僕だけを忘れ
暖かく過ごしているのかなぁ
もう一度だけ
このボロボロのマフラーを
僕の首にかけてほしい
でも君はもういないから
弟にかけてもらった
笑った
二人で大いに
笑った
戻る 編 削 Point(3)