つまびく。/田園
つまびく。
つまびく。
とおい音がする。
海辺の砂の、さらさらという音にも似ていて、
夕闇の中、季節外れの蝉が最期の力でうたう音にも似ていて、
それでいてまったく違うのだ。
一個人がつまびいた音というのは、
万人が持つ没個性により淘汰されるものと思われるが、
何分、人間は我が強い。
一個人、一個人が違う音色を放つ。
それは良い事ではないだろうか。
けんかをしているくにがあり、
なかをつなごうとしているくにがある。
“戦争が近くなり遠くなり…繰り返す錯覚”
民と民との抱擁。
それをつまびき、皆で踊ればよい。
弱き私はそう思っている。
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