からの冬/田園
からの冬
陽光がふりそそぐ
あたらしい年
からの冬が
こたつを引きずり出して
わたしの足をつかまえる
春になってたまるかと
過去のわたしが追いすがる
幸せが存在するなんて
忘れてしまった―たしかに居た―わたしが
わたしよ
からの冬を愛するわたしよ
日の出の光のあたたかさを
海の途方もない深き青を
冬の愛を忘れたのか
いつまでも罪に怯え
身体を小さく小さくして
嘲笑を恐れたわたしよ
ああ
そこまで怖いのなら
冬はまゆにくるまって眠るといい
そう怯えないで眠るといい
何年でも何十年でも
眠るといい
だが目覚めをおそれるな
からの物なんて本来は存在しない
からのわたしなんて本来は存在しない
冬のせいにしてはいけない
あなたは愛されている
あなたが気づいている以上に
怖がるな
怖がるな
わたしよ
きづけ
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