大きな木になったムーア/つきのいし.
ムーアは泣かない子供でした。
ムーアは声のない子のように無口でした
ムーアは顔のない子のように無表情でした
ムーアは目のない子のように見つめていました
ムーアは手足のない子のように歩きました
ムーアは服をまとっていないような身なりでした
ムーアは親のない子のように遊んでいました
周りの子供たちは とてもとても純粋でした
ただ 特異なムーアの存在に
どうしていいのか わからず
自分らと違っていることに戸惑い
いつからか 誰からか
子供のままの残酷さで
無心にムーアをいじめるようになりました
ムーアは体のない子のように無傷でした
痛みを感じない子のように立って
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)