サナギ/加藤
一言が大きく響く
一人 夜中にソファーの上にいる
テレビの光と そこにいる人の影
どちらが温かいのか知っているのに
理由もなく大事な助言をさえぎってしまう
気がついて我に返ると
始めて聞かないでいたことを知る
どんなに近くても どんなに遠くても同じなのか
くだらない嘘をついて またテレビの光をぼうっと見つめた
好きだと思う気持ちも 大切に思う気持ちも 素通りしてぼんやり見ていた
気持ちと表情と行動はいつもどこか食い違う
ずっと近くにいても どんな時をどう思い過ごしたか
分からないことがたくさんある
夜は続いている
この暗がりを通り抜けるまで
温かい優しさのうしろに怖々つかまり 弱虫でいる
今を後悔する時がくる前に 早いうちに旅立つ準備がいる
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