冬の朝のぼんやり/いねむり猫
遠く 朝の空に カラスが 鳴いた
空に向かって投げられた 一筋の石のように
深く青い空の中 大きな羽影が音も無く遠ざかる
夜に満ちた寒気が 弱い光にわずかにゆるみ
首を縮めたくなる風が 新しい北の匂いを運んでくる
カラスから隠れていた小鳥たちが 恐る恐る庭に戻ってくる
小鳥たちの濡れた木の実のような眼差しは 花壇に向けられている
鮮やかに開いたビオラの花びらを 空腹の足しにしようと
つまみはじめるつもりだ
花が散らされるのは いやだ
小鳥を追うのも いやだ
ほって置こう
まれに 早朝の柔らかなバラの葉に夢中になって
地中
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