錆びた車輪/いねむり猫
 
さびた車輪が 降り積もった時間を振り払い 
重くきしむ

巨大な動輪が レールの上をわずかに揺れて 
危険な過去の岩石たちを粉々に砕く

車軸に浴びせられる 熱いオイルの飛沫が 
すでに赤熱しているカマドをなめて 白煙を挙げる

動くために創られ 
閉じられた部屋の中で 動くことを 自らに禁じてきた

その矛盾は 鋼鉄の体の隅々まで満ちて 
己を 損ない 朽ち果てることを 受け入れ始めていた 

だが 年月と不安に耐えた この車輪が
今 動き出すのは 必然なのだ


錆びた車輪が 動く
解き放たれようとするその力
縛り付けていた過去の澱みさえ その予感に激
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