火焔茸/ゴースト(無月野青馬)
 
生涯で一番恐れていたこと
生涯で一番忘れたくないことを
自分で
認知出来なくなって
涎を口から垂らすようになったら
安楽死させて欲しいと
「俺」は40代の内から遺言している


明日は来る
明日はあると
喧伝されて久しいが
明日は千差万別だと知らされていたか


お前の生きている今日は
生きたくても生きられなかった人の明日なんだよと
よく自殺志願者を説得するが
その人の明日は千差万別だと知らされているか


誰かの今日は
誰かの明日
自殺志願者は今日
生存者に格上げされているか


「弟」と「妹」は
無様な「俺」を見たくないと云う



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