午後の山の手線 大塚ー池袋間/そよ風
隣の人と隣の人
を、囲う固体の壁が崩れて
人間のぼんやりとした魂が
溢れ出し
隣の人と隣の人の
空間で混じりあっている。
それはとても幸せなこと。
反対岸からみていた私は
直感的に幸せな風景だと思う。
どうして人は固体から離れたところに、フワッと魂をだすことができるのだろう。
フワッとだしているソレは
実際、魂なのか。
もし違うなら、何という名前で存在しているのか。見えないソレを、そもそも存在として認められるのか私は知らない。
それでも、冬のまどろむような光がさした
午後の車中は、淡い光と隣の人のおくれ毛からでる甘いキラキラしたものと、おばさんの厚化粧なのに素顔な佇まいと、全体的に無防備で安全であたたかい景色を、幸せな景色だと思う。
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