散華/salco
あれは
花の散る音だよ
花びらの儚くはがれ
地に落ちる音
砂に擦れる骨片の
乾いた軋みのようだろう
あれは
時の流れる音だよ
流砂のさらさら崩れ行く
風と波の造る音
私の体を通り抜け
遠ざかるだけの足音だ
手は振りほどかれて虚空を掴む
足はもつれて地に埋もれ
日に灼かれた眼も夜に沈む
風は止み
燈芯にたなびく薄煙
左様なら…
これは
花の咲く音だよ
おののく蕾が導かれ
そっと天へとひらく音
すやすや眠るみどり児の
金の産毛の柔らかに
かがやく頬のようだろう?
散華散華
一切皆苦 一竅虚通
散華散華
空手還郷 空亦復空
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