朝起きると嘘が生まれていた/
 
が奏でる歌のように
繰り返し繰り返し鳴り響いている
けれどそれは嘘だ
いつまで経っても嘘になれずに
青空のことばかり考えている
それが今の自分だ
それこそが本当の自分だ
 

朝起きると母が壊れていた
あの朝から何年が経っただろう
母が動かなくなったその後も
ずっと修理の仕方を探し続けているのだ
思い出したくない記憶を
壊さないようにそっとそっと抱えて
自分への言い訳をなくさないように
そっとそっと握りしめて
どこへ向かうというのだろう
どんな朝を歌うというのだろう


見渡す限り空っぽになったような そんな嘘が続いて
生まれた街を離れられずに
過ぎ去った人達の事ばかり考えている
全てを飲み込んだ青空が
笑ってしまうような表情で
こちらをじっと見つめている





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