あいつと僕/紀ノ川つかさ
歩くんじゃないよ
てめえは目障りなんだよ
もっと小さくなって生きろよ
俺に口答えしたら殴るぞ
今度目の前をうろうろしたら
橋の上から川に蹴落としてやる
僕は家に帰り
泣きながらパパとママに言った
せめてあいつに何か言ってくれ
あいつの両親に何か言ってくれ
怖いんだよ
怖くてしかたないんだよ
これじゃ外も歩けないよ
でもパパもママも
困った顔で微笑みを浮かべているだけなんだ
なんでそんな顔してるのか分からない
怖いんだよ怖いんだよ
何とかしてくれよ!
するとパパがやっと口を開いたんだ
パパは昔
あいつのお父さんを殴って蹴って
そりゃあもうひどいことを
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)