誰かからの声/番田 
 
ヘッドフォンのコブクロなどを聴きながら
恵比寿駅の階段を
ひとり登っていくとき
今年は自分にとってどうたったかなどを
思い返している


同世代ぐらいの人が
まばらにホームに立っている
彼らにもきっと
覚悟された死んだような未来が待っている
そんなことを思いながら
おとなしく家に帰る
横浜中華街方面へ
乾ききった唇を噛みしめながら


弾き語りをやっていた
あの真面目な先輩は
もうステージには立っていないらしい
大切にしていた青いギターも埃をかぶったままだ
だけどそれでよかったのさ


今日も現れては消えていく歌い手たちの声
愛の言葉を叫びながら
僕にも彼らの放つ真っ直ぐなハートがこの目がしらに
身に染みて感じられる今日この頃



今日もまた
一青窈の独特の声をぼんやりと聴いてから
絢香を聞き
椎名林檎に歩調を合わせる
そして彼らのその心が燃え尽きるまで
声とともに僕はいつまでも生き続けるのだろう



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