町の死/紀ノ川つかさ
 
最後の店が閉じ
町は死んだ
残された者達は
買い物をする術もない
やがて人も死んでいく

国会議事堂前で今日も汗を流す人々
天下の悪法を廃案にすべく集う人々
大勢の人々
悪法が国会を通過しても
なお肩を抱き合い
希望を失わぬ人々
明日もここに集い叫び声をあげよう
悪法がもたらす自由の喪失により
何人もの善良な市民が
不当に弾圧され拘束されるに違いない
そして死刑まで宣告されるに違いない
命を守るためにここに集い
声の限り叫ぼう
命を守るために
ここに集おう

産業が一局集中し
小さな町は次々死んでいく
貧しい者は自業自得だと
国には冷たく宣告された
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