見つめる先に/小林螢太
北風が吹く、この街の
行き交う人々を眺めている
もう皆、すっかり冬の装いで
どことなく落ち着きがない
しかし、私の目に
それは映ってはいるけど
どこか、よそよそしい
その先に続く
ちらほら紅葉した山を眺める
だが、現実感がない
まるで
風景画を見ているような感じだ
目に映っているだけで
視線は
内側に
向いている
こころの中に
空っ風が吹いている
これと言って可も不可もない私の
感覚は鈍く、薄い
確たるものがない
冬に変わりゆくこの時期の
憂鬱か
残り少ない今年に
なにか
焦りのようなもの感じてるのか
何を?
見つめる
目をこらす
捕らえようとする
つかみどころのない「何か」を
私の目指すべきところは
どこにあるのだろう
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