寝床からの日/番田
パリの街は
特に珍しいものもない
立ち止まる時
運河を流れる水がある
今朝食堂でなんとか手にしたパンは
かりかりでおいしかった
奪い合いだった
団体客が来ていて
飯の
争奪戦だった
それから
どこに向かったんだろう
忘れた
オルセー美術館の
長蛇の列だったような気もする
半日以上歩いてまで
見るべきものは無かったが
セーヌ川で
あの日投身自殺をした詩人や
その美しさを
清くなめらかに歌った詩人を思う
あれは文学全集で読んだアポリネールという人だった気がする
近づけば大したことのない水色の川
偉大なのかどうなのかはわからないけれど
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