夏の時/うみこ
波の音と蛇口から出る水の音が競いあっていた
僕の夏は遠くで鳴るチャイムのように 青空へ吸い込まれていった
道路に置かれたブロックにアイスの水滴が落ちた
乾く前に
アリの餌にでもなればいいと思った
さりげなく太陽が憧れの人の肌を焦がして
卑怯にも心を惑わせてゆく予報(魔法)
ジェット機がつくる飛行機雲が まるで遠い時間を縫う糸ように
形の変わる恋を雲になぞらえて繋いでしまう
熱を帯びた団地から漏れるニュース
波の音と
蛇口から出る水の音が競いあっていた
僕の夏は遠くで鳴るチャイムのように 青空へ吸い込まれていく予報(魔法)
夏の時の魔法
戻る 編 削 Point(2)