よはく/AB(なかほど)
 

昼下がりのよはく

 貴方の町でも蜩の声は聞こえるのですか
 窓の外に目を向け
 あれはまだ桜も咲いてない午後だったのに
 耳鳴りが
 今でも止まない


  

春のよはく

 昨日の唇が
 いや 
 と震え
 あとは霧雨
 それは僕ではなく君のものか
 あるいは
 まったく知らないひとのものでもあったのかもしれない
 のにまとわりついて
 霧雨
 濡れないままで
 今日も
 唇 が
 いや
 と




唇のよはく

 ありふれた言葉でゼリイをつつくと湿ったにおいの味がする。君はもう、僕は今でも、なんてありふれた記憶でゼリイ
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