失業手当の幻/番田
夜は誰もいない
言葉は誰もいない幻
そして走り出す
道を探す
見えない夜の中
僕はどこにいる
電柱と肩を組んだまま
韓国で旅券を発券し
欧州へ向かっていた
飛行機の電灯の下
テーブルの振動だけを感じる
そして流れた
時の中をロシア上空で
翼の下に広がる穀倉地帯
もう一人の僕が
そこで生活していた
すでにぼくは
死んでいるのかも知れない
そんな事を思いながら
パリに降り立った時
あまり良い雰囲気はなかった
先頭の女についていく
税関への通路を歩く
僕は一人
ドミを探す
メトロは暗い
迷路のようだ
NYのような
灯火が欲しい
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