新しい家が建つ/
小原あき
新しい家が建つ
白い壁の真新しい
まだ誰のにおいも
染み付いていない
新しい家が建つ
そこに小鳥が住むとして
わたしは祝いに何を贈るだろう
わたしは熱い熱い珈琲を飲む
冷えた体が一瞬あたたまる
頭はきんと冴えてくる
新しい家が建つ
隣に大きな木が
何年も前から
何十年も前から
そこにそうやって立っている
落ち葉はすっかり片づけられ
細い枝が風に揺れている
そして
歌いながら
小鳥を待っている
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