書斎/
白雨
累々と積み上げられた本の中から
のぞく黒い眼 踊りだし
蟲のように 這いまわる
文字を追うゆび
むしゃむしゃと 妖しく
漢字を アルファベトを
食べまわり
くしゃみをする
すると、
なまあたたかい
腹のなかから
鐘のおと 響きわたり
歯車が回転して
いっせいに
飛びちらかる
黄金の
翅の生えた
埃たちが
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