イチョウの中で/番田 
 
冬のある日に見ている捨てた夢
人が生きているのは悲しいからさ
手をつないでいる二人
僕にもそうしていられた何も知らない子供の頃があった
街は足早に過ぎて行く
進んでいるのかはわからない


渋谷の街で僕は
愛情のかけらも胸に手を当てても心の中にはなかった
あるのは煩わしさだけ
雑誌をめくればよく見かける詩人の名前
今の日本を言うことができるのは
誰だろうと思うときにあの震災の光景が頭をよぎる
僕らが感じたものは何だったのか

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