らっきょう/ichirou
よろしかったら めしあがってください
食堂で 派遣社員のおばちゃんが
らっきょうを振る舞ってくれた
とてもおいしい
そういえば
近頃
食べ物でおいしいと意識したことがなかったな
この
おいしさに対して
毎日を無難にこなしている自分が
相反しているかのように
湯のみのお茶が
ネガフィルムになって
顔を映している
外に出ると
まるで噴火しているかのように
富士山の
山頂に雲が懸かっている
壮大だ
あー
声を出して深呼吸すると
冷たい空気と
かすかな
らっきょうの香りが
鼻から抜けていく
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