Barolo/
草野大悟2
すみれの香りがするね
ルビー色のワインを飲みながら
つぶやいたあなたの唇が
柿渋のように舌にからみつく夜
新月が笑い
大潮が笑い
あなたの赤い月が、ひとり
インディゴの空に浮かんでいる
どこまでも続く風は
おそらく
僕たちを忘れている
どこまでも続く空は
たしかに
僕たちを知らない
あの時見上げたもの達は
見上げた僕らを
もう
覚えてはいない
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