十月のノートから1 (十首)/もっぷ
親指が巻き爪だった一週間ビーチサンダル秋の風知る
あの頃にすがることしかできないとみあげる空に同じ月あり
台風が心を壊すほどの日に追憶のなかの秋晴れをゆく
暮れてゆくこどものいない公園で夕日に「痛いかい」と聞かれた
そよいでて誰も手折らぬ猫じゃらし知ってほしいか手折ってほしいか
風だけが通り道かと思ってる出口が二つある公園を
この写真構図がダメであきらめる次の日に無いきょうをデリート
足許の石ころと自分くらべてる心の穴に秋風の吹く
あと少し経つと葉をみな落とすだろうそして空刺す幾百の矢が
「バカになれ」言われたけれどなれなくてこれがバカだと思うんだけど
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