あなたの部屋の窓ガラスが透明であったなら/ichirou
 
もしも
あなたが
何度電話をかけても
相手につながらなくて
耐えられない程 不安になったなら

あなたの部屋の窓から外を眺めてみてください

窓に近寄り
息を吹きかけ
ぼんやりした色が
だんだん はっきりするまで

唇を噛んでもいいですから

それでも
まだ不安なら
椅子に座り
意味もなく雑誌のページをめくり
時々窓の外を眺めて
相手の方を想っていてください

ため息をついてもいいですから

いつの間にか夜になってしまったら
部屋の蛍光灯を消して
窓から見える
いちばん遠くの灯りをさがしてみてください

声を出して泣いてもいいですから

それでもまだ不安なら
部屋の蛍光灯を点けて
窓ガラスに映った
泣いているあなたを見つめて

ずっと
そばにいてあげてください

あなたの涙が枯れるまで

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