震えが止まらない/ichirou
我家の軒下にやってきた
つがいのツバメ
気がつくと
いつの間にか
1羽だけになっていた
それから
ずっと
一羽のツバメは
巣の中で
じっと外を見つめていた
あたりを警戒する様子もなく
視線は
冷たく
凍りついていた
ある雨の日
もう巣には
一羽もいなかった
草のにおい
虫の音
遠くの空の小さな雷の音
寂しい雨音
主のいないツバメの巣
その日以来4年間
この巣に
ツバメは1度も戻ってこない
誰も手入れをしなくなって
壊れかけた巣を
僕はデッキブラシで
きれいに壊した
もう忘れたい
そう思った
壊した巣のかけらと
小さな羽毛が
風に舞い
なにごともなかったように
無くなっていった
次の瞬間
僕の心と体は
小刻みに
震えだした
確かに
見たのだ
風に舞う
巣のかけらと
小さな羽毛と
小さな鳥の骨を
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