夢庭/
雨慈ムシ
金木犀を纏って
波立たぬ心を晴らす庭
汗を紡ぐグラスに
青空を並々と注いで乾杯
野球バットは年老いて眠る
思えばこの庭は
何時から微睡んだのだろう
火照った地べたに風が這う
はっと酔いが醒めて
子供ながらに遊ぼうと裸足が疼く
白い小さなサンダルを
青臭い季節に忘れ物をした
あっぱ口を開けて
ビー玉の瞳が私を射る
金木犀を纏って
寝息を立てる庭
涙垂らした心を均す庭
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