おんなが笑っている/HAL
 

おんなが笑っている
高笑いでもなく微笑みでもなく
氷雨に打たれ空を見上げ
おんなが笑っている

おんなの頬を伝うのは
雨粒だろうか涙だろうか
痩せたおんなだった
背の高いおんなだった
美しい彫刻のようなおんなだった

そのおんなの視線がゆっくりと
ぼくのほうにかわった
おんなはまだ笑っている

おんなを視ているぼくを笑っている
だけどせせら笑いではなかった
ぼくとぼくの世界性をただ笑っている
見下すでもなく敬うでもなく
ぼくとぼくの世界性を笑っている

そしてぼくにゆっくりと歩を進めた
ぼくはおんなにそっと抱きしめられた
おんなからは知らない花の芳
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