労働/葉leaf
肉体が発酵したことを示すように
汗は一枚の流れる衣服として肉体を飾る
俺は文明やら責任やら愛情やらの硬い網から這い出て
大地というまったくの物質に物質として衝突する
ここには人間はいないし愛も憎しみもない
骨と肉と皮が農具や土や木と適切に呼応して
小さいけれども遥かなリズムで俺の肉体は徐々に広がっていく
労働は人が人を超えたときに論理的に発生する音楽
土にスコップを差し込む映像に群れ集まる陽射しが厳しく
背後には無数の裏切りがただ地点として存在する
運動が時間を孤独に生み出すとき
時間は空間の一滴として地球を化学変化させる
土が掘り返されそこには静寂が七転八倒し
つまりは俺はすべてと平準化された
視覚も聴覚も触覚も
肉体も物質も運動も
時間も空間も持続も
きしめく一個の球体に代わる代わる成り代わっているだけ
そして俺はもう一つの肉体とも成り代わり
共に働くということは一つの球体を共有するということ
労働の結果は経済に組み込まれ社会を流れていく
もちろんそこにも人間はいないし愛も憎しみもないのだ
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