手紙を書こう/まーつん
一員としての仮面が
顔に張り付いて、剥がせない
そんな
人間としての素顔を
皆が忘れ去った世界では
英雄も、落伍者も
孤独なことに変わりはない
手紙を書こう
私たちが
何者であるのかを
思い出すために
静けさの中で
内なる声に耳を澄まし
それを、誰かに届けるために
親であり
あるいは
子であり
使う者であり
使われる身であり
仕える者であり
敬われる身であり
裁く者であり
裁かれる身であり
市民であり
罪人であり
浮浪者であり
旅人であり
富め
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