R /salco
輝く雲の湧きあがる空の果て
若者の最期は誰にも見届けられない
彼は太陽をその目に捉えて
振り返った時には姿を消していたのだ
母は名を呼び続け
長の年月探し続けたが
父は真新しい墓へ参る度に十年ずつも年を取り
三年を待たなかった
彼には意味のない女達はみな
あの逞しい腕の艶やかに整った筋肉
しなやかな指先に触れられるのを夢に見た
泳ぐような胸板の反射に目を細め
丸い下顎の先に見える形の良い鼻孔と
柔らかに澄んだ眼差しを
間近に仰ぐ憧れを抱いた
すべては何処へ行ってしまったのか
土中で蝕まれ雨水に朽ち行くとは
誰も信じることができない
そして若者の名さえ知り
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