シーラカンス/みもる
太陽の光に 目が眩んだ
外に出ると
誰かと肩がぶつかって
紙切れみたいに
尻餅をつく
ぐるぐるまわる
早送りの世界に目が回って
いくらカウントとられても
立ち上がれない
なんだかやけに冷えると思ったら
もうここは深海だった
完璧な
永遠に広がる暗い孤独
もう誰も 僕を釣ろうとしないのなら
もう僕を 釣れる名手も餌もないのなら
もう僕は 忘れ去られるほうがいいのだろう
深く 潜った
深く深く 潜った
もっと 深く
誰の目にも留まらぬように
せめて
語り部たちの一節になるように
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