未来/いっと
 
彼が初めて発した言葉から、醜いののしり合いが始まる
彼が初めて刃物を持った朝、私の人生は緩やかに終わっていく
未来の子供には言葉の正しい効用と、性交の正しい効果を
教えてあげなければいけない
それは私達の役割だ
過ちと正しさは、同時に成り立つ
(昨日買ったこの刃物は、
(未来を切り裂くことが出来ますと
(嘘でもいいから、言って
 
彼の血を湛えても、未来は満たされない
昨日庭に植えた芝は、まだ無色透明で、誰かの訪れを待っている
後方から後悔を集めて
前方に水を撒くように、恵む
花から種子が生まれると信じていたのに
とうに枯れていたのだ

帰巣する、彼と彼の子供
ここではない、鏡の中へ行け
平行する世界では、罪に問えないことがあまりにも多い
前進する、向きを誤って、
突き刺さる
血がただ憎い
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