手は繋いだままで/中村 くらげ
 
部屋の電気は消してしまって

まっくらで物静かな夜

十一月はひたひたと

毛布の重みと共にやってきた


手は繋いだままで

寝息の輪唱を続けた

手のひらの温かさだけ

塗り重ねる肌寒い夜


夜はそんなに長くはない

秋はそんなに長くはない

そんなに長くはないものが

手を繋いだままで生き合っている



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