手入る頭引き図ッ手永る不羽毛/狩心
 

力一杯背伸びして
空気を吸い込み
 顔を上げた
そして物凄い速度で頭を下げて
すかさず物凄い速度で頭を上げた
 グキリと音がして
目の前が真っ暗になった

 夜の町

 光も振動も 匂いも味も 無い場所で
 指先だけが
 冷たいジメンに触れていた
 この惑星の皮膚
 人という硬い甲羅に覆われて
 覆面のパトカーは
 消防車と救急車を追い掛ける
 触れたら
 裸の私があなた、の代わりに
 鬼になって
  本当のあなた、を追い掛ける

(本当なんて、どこにも無いのに…)

  どこにも存在できないあなたに触れて
  握りつかむ
  その手を切り落として
 切られた断面から滴る無数の命の
 シをなぞる どこにも存在しない手で
 これだった、とつぶやく
 私はそれを聞く事ができない
 それを聞く事ができるのは
  あなただけ、
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