手入る頭引き図ッ手永る不羽毛/狩心
 
日々の現実が嫌で嫌で
 考え抜いた者が
行き着いたものは
 物質への憧れ

何かを思うより
何かに触れていたい

家の近くの
何の変哲もない公園のフェンス
それを手で触って
握りつかむ
手を離して
四つの指先でフェンスをなぞる
目をつむり
これだった、と思う

目を開けて
遠くの電信柱を見る
見ているだけでなく
それに触れてみたい

目は
見る器官ではなく
物質から放たれた光に
触れる器官
耳は
聞く器官ではなく
物質から放たれた振動に
触れる器官

家の中で一人で
画面の先にいるあなたに触れると
その場に
私も居たいと思う

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