マリーアントワネット/月形半分子
チェス盤の上に立っている僕は
ポーン、哀れな駒。
号令が響くたび一歩前へ出る。
白を踏むたび孤独が深まり
黒を踏むたび恐怖が増す
可哀相なポーン、それが僕ら。
革命の冬、串刺しで盤上が沸き上がると
僕らの闘いが加速した!!
すべての駒がナイトに変わり
革命の詩が流行歌になった
クイーンとキングは盤の奥でダイヤのように青ざめていた
彼らのナイトもビショップ も、もういない
大蔵大臣は言った
「残念ながらクイーン、パスは出来ぬのです」
立ち並ぶ僕らの前で
彼女は静かにドレスの裾をもつと
美しくも、革命家の前に進みでた
運命のチェックメイト。
戻る 編 削 Point(5)