十月の晴れた昼下がり/オイタル
 
十月のある晴れた昼下がり
どこかで聞いたような一行だが
襟首をきれいに刈り上げたような小さな図書館で ぼくは
真夜中にマクドナルドに行くお話を読んでいた

フォト用紙みたいな装丁の
指紋のない指先みたいな装丁のそのお話は
いつ始まったとも いつ終わるとも知れず
やがてなだらかに終わっていた

お話の中ではうまくしゃべれない男の人と きれいな女の人が
頭にスキー帽をかぶっていろんなものを並べてみていたが
ぼくの頭の中ではずっとBJのウイーンが流れ
バラード風の耳鳴りが流れていた

ぼくもどこかに行きたいのだ
どこかに行きたい
行きたい場所も実はわかってる
でもそれ
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