夢の跡/龍九音
 
煙草の煙を燻らせて
黄昏の公園に佇む一人の老人
先ほどまで遊んでいた子供達は
まるでかき消す様にもういない

眠たげなその瞳で
茜色の空を見上げ
夢の中を漂い流離う老人
想いに耽るのは何時もの事だと
自分に言い聞かせているように

春には緑の馨りを
夏には青い輝きを
秋には赤い趣きを
冬には白い溜息を

起承転結 夢の跡

また1年振り返るのは
夢を抱えたあの頃のこと

人の夢が儚さなのか・・・
希んでも 望んでも
届かぬ思い・・・

騒ぐ心と諦めの心
ない交ぜになるその想いを包むように
ひっそりと
帳がおりてくる
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