詩を書く事/yamadahifumi
 

もう何も書く事はない

もう何も伝える事はない

ただ、僕は一つの沈黙としてそこに存在しているだけ

そう考えて、僕はキーボードに触れなくなった

・・・にも関わらず、僕の中の言葉は一つの表現を求めて

僕の中から外に出ようとする

すると、僕はその圧力に耐えかねて

再びまたこうして、キーボードに手を添える・・・

ああ、もし詩が金儲けの為の道具ならどんなに楽だったろう?

もし、人が自分自身の宿命から逃れて

金と物と肉欲のこの世界に溶け込む事ができれば、どんなに楽だろう?

あらゆる複雑な哲学、物、思想を退けて、実に平板なこの世界の掟そのものと
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