朝日/月形半分子
 
真夜中に歩いているんだ
電灯に近づくと急に影が生えるよ
影は僕の色をして
濃くなったり、大きくなったり
そしてぐるりと僕を一回り
でも、もう遊ぶ時間じゃないから
バイバイ バイバイ 色の足りない悲しい道化
そんなに斜めに傾ぐなよ
お月様が家まで付き添ってくれるから
大人になってもそれだけは、変わらないから
(次ぎから次ぎへと夜に割れていく柘榴。道が映すものは空じゃなかった)


10月だというのに驚くほど暑い一日
乱射、反射する陽光が葉裏の隅々にまで至り
ヤマモモの木に潜んでいた空蝉が
皆あらわになってしまった
そんな風景を、そんな空を、蟹は知らない
水底から水
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