あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
 
てみたりと、行き先は平凡な場所ばかりだったが彼女と一緒ならどこだって奇跡のように素晴らしいデートコースに思えたものだ。
 僕らはデート先でお昼を迎えるとレジャーシートを広げて体育座りをしてお弁当を広げて宇宙ロケットを組み立てて操縦席に着席してあーんとかアンアーンとかとっても大好きーなどと真剣に議論しながら、二人っきりで膨大な宿題を解きあった。

 マミユミコちゃんは十年前に海に没した古代遺構の内部に分解された状態で眠っている大神殿の柱の内側にそびえている看護学校への進学を希望しているので、僕も微力ながら全力で協力してあげたいと思っているのだ。足し算と割り算と富士山をリンゴの皮とみかんの筋を使
[次のページ]
戻る   Point(2)